資金調達と投資回収について

事業の資金調達に関する動向

産業用太陽光発電システムを導入するにあたって、最も難しいとされているのが資金調達です。例として、1メガワットの産業用太陽光発電システムを導入するとなると、少なくとも3億円前後のコストが掛かると言われています。

そのため、いくら産業用太陽光発電の投資収益率が魅力的であっても、資金力のある大企業しか参入できていないのが現状です。

産業用太陽光発電事業は、リスクの伴わない長期的な収益を生み出す事業であることは確かですが、担保が十分にないと金融機関からの融資は得られません。

これは、銀行を始めとする金融機関が未だ太陽光発電事業の事業収支が不確かだと判断していること、またリスク分析をするだけのノウハウを蓄積できていないといった事が理由として挙げられます。現在、太陽光発電事業の資金融資形態にはいくつかの種類があり、それぞれ異なる性格を持ち合わせています。

融資

融資金額の元本と、融資金額にかかる利息を返済するという契約のもとで資金を貸す形態。主な主体はメガバンク、信用金庫などで、借りたお金は会計上「負債」として取り扱われます。

法人相手の融資の場合、資金需要者全てに融資を行っているわけではなく、一定の内部基準を満たしているかどうかの審査が行われ、審査を通過した法人に対してだけ資金を融通しています。

その内部基準とは、財政状態、経営状況、業務内容、信用情報、担保の価値を指し、そういった基準を満たせない小法人など、貸したお金が帰ってこない可能性が高いと判断される場合は、融資を受けることが出来ません。

プロジェクトファイナンス

事業者の信用力や担保の有無・価値によらず、経営ノウハウや技術力、将来性などに着目し、事業そのものが生み出すキャッシュ・フロー(利益)に返済原資を限定する融資形態。主な主体は都市銀行、地方銀行など。

事業の資金調達を行う際、プロジェクトを遂行する特別目的会社(SPC)を設立し、この会社を事業者として借入を行うという仕組みになっており、その性質上、公共事業や公共的要素の強い民間事業において活用されることが多く、日本国内での事例もまだそれほど多くありません。

今後事例が増加していくにつれ、中小法人でもプロジェクトファイナンスを組成出来るようになれば、今後国内の再生可能エネルギーの利用率は爆発的に伸びると予測されています。

投資(株式取得)

資本金を提供して(=株式を取得)会社の所有者(株主)となること。主な主体は投資会社や銀行、信用金庫など。

資本金は返済する必要も利息を払う義務もありませんが、株主には受益権と共益権が発生します。受益権とは利益分配など経済的利益を受ける権利を指し、共益権とは株主総会での決議等経営に関する権利のことを指します。

投資ファンド

「投資事業有限責任組合契約に関する法律」に基いて組成された有限責任組合に投資家が資金を出資し、運用会社がその資金を株式や不動産、あるいは特定の事業などに投資し、その運用で得た利益を投資家に分配するという形態。

産業用太陽光発電の収支シミュレーション

以下のグラフは、設備容量49.92kW、年間想定発電量41,650kWhの太陽光発電システムを1,600万円で導入し、 20年間発電を行ったと仮定した場合の収支シミュレーションです。

20年投資シミュレーション

シミュレーションでは、10年目で導入コスト回収しきっており、以降の売電収入は全て利益となっています。 なお、経年劣化による出力低下を考慮しているため、青線グラフは緩やかなカーブを描いています。

この太陽光発電システムを導入した場合の投資回収は、概ね以下のようなイメージになるということですね。

売電による利益

産業用太陽光発電の採算性をアップするには

産業用太陽光発電事業の採算性を向上させるには、まず「付帯費用をいかにして抑えるか」ということが重要となります。

特にフィールド設置の分野においては土地の整備費用(造成費)や、系統連系費用など、設備以外にも多くの費用がかかってくるため注意が必要です。

また、入念に設置環境の事前調査も行わなければなりません。受光障害、積雪、塩害といった問題は、事業の収益性にも大きく関わってくるため十分な検討が必要とされています。